「AGAが気になるけれど、まず育毛剤を使えばよい?」「育毛剤に”発毛促進”と書いてあるならAGAにも効く?」と迷う人もいるでしょう。
出典:公益社団法人日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
結論からいうと、医薬部外品の育毛剤と、AGAに対して用いられる医薬品は同じものではありません。医薬部外品の育毛剤には、承認された範囲で「育毛」「薄毛」「脱毛の予防」「毛生促進」「発毛促進」などの効能・効果があります。一方、AGAに対する医薬品には、フィナステリド・デュタステリドなどの内服薬や、ミノキシジル外用薬などがあり、目的・作用・使用条件が異なります。
特に注意したいのは、医薬部外品の「発毛促進」という表示と、医薬品によるAGA・壮年性脱毛症への「発毛」を同じ意味として扱わないことです。
この記事では、AGAに育毛剤を使う意味、医薬部外品の育毛剤にできること・できないこと、発毛剤やAGA治療薬との違い、AGAが疑われるときの考え方を整理します。
AGAに育毛剤は効果がある?まず知っておきたいこと
「育毛剤」という言葉だけでは、その製品がAGAそのものを治療する医薬品なのか判断できません。まず、医薬部外品の育毛剤とAGA治療を分けて考えましょう。
医薬部外品の育毛剤には認められた効能・効果がある
厚生労働省が示す医薬部外品の効能・効果の範囲では、育毛剤(養毛剤)は「脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤」とされ、育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛などが挙げられています。
育毛剤で確認したい表示
- 医薬部外品かどうか
- 有効成分
- 認められた効能・効果
- 使用方法と使用上の注意
ただし、この効能範囲だけを根拠に「AGAを治療できる」と読み替えることは適切ではありません。
育毛剤には認められた効能がありますが、AGA治療薬とは区別して考えます。
医薬部外品は医薬品とは位置づけが異なる
医薬品医療機器等法では、医薬部外品は人体に対する作用が緩和なものとして定義され、その目的の一つに脱毛の防止や育毛が含まれています。
| 区分 | 主な位置づけ | AGAとの関係 |
|---|---|---|
| 医薬部外品の育毛剤 | 育毛・薄毛・脱毛予防など承認された効能を目的とする | AGA治療薬とは別の区分 |
| ミノキシジル外用薬 | 壮年性脱毛症における発毛などを目的とする一般用医薬品がある | 発毛治療の選択肢 |
| フィナステリド | 男性AGAに用いる医療用医薬品 | AGAの進行抑制を目的に使用 |
| デュタステリド | 男性AGAに用いる医療用医薬品 | AGAの進行抑制を目的に使用 |
「頭皮につける薄毛対策商品」という共通点だけで、医薬部外品と医薬品を同じものとして扱わないことが重要です。
「発毛促進」と「AGAに対する発毛治療」は分けて考える
医薬部外品の育毛剤では、承認された効能・効果の範囲に「発毛促進」という表現があります。
| 確認点 | 内容 |
|---|---|
| ポイント1 | この言葉だけを見ると、医薬品の発毛剤と同じように感じるかもしれません。 |
| ポイント2 | しかし、一般用医薬品のミノキシジル外用薬には「壮年性脱毛症における発毛」など、対象となる脱毛症を含む効能・効果が設定された製品があります。 |
| ポイント3 | したがって、医薬部外品に表示される「発毛促進」を、そのまま「AGAを治療して発毛させる」と読み替えないことが大切です。 |
似た言葉でも、製品区分・対象・承認された効能が違えば意味合いも異なります。
AGAが進行しているなら育毛剤だけに頼らない
AGAでは、前頭部や頭頂部を中心に毛髪が細く短くなるミニチュア化が進み、生え際の後退や頭頂部の薄毛が目立つようになります。
- たとえば、生え際が徐々に後退している、つむじ周辺の地肌が広がっている、以前より細く短い毛が増えている場合は、育毛剤を選ぶこととは別にAGAかどうかを確認する意味があります。
- ポイント:進行性の変化がある場合は、「どの育毛剤を使うか」だけでなく「AGAへの治療が必要か」という視点も持ちましょう。
医薬部外品の育毛剤にできること・できないこと
育毛剤を適切に選ぶには、認められた効能と、AGA治療として期待しすぎてはいけない部分の両方を理解する必要があります。
承認された範囲で育毛・脱毛予防などを目的に使える
医薬部外品の育毛剤は、商品ごとに承認された効能・効果の範囲で使用します。育毛や脱毛予防、薄毛、ふけ・かゆみなどが対象となる製品があります。
使用前に確認する項目
- 製品区分
- 効能・効果
- 有効成分
- 使用回数・使用方法
同じ「育毛剤」という呼び方でも、成分や製品設計は同一ではありません。
育毛剤は商品名やイメージではなく、個別製品の表示を確認して使いましょう。
AGAそのものの診断はできない
育毛剤を使っているからといって、現在の薄毛がAGAなのか、別の脱毛症なのかが分かるわけではありません。
- AGAでは徐々に進行する薄毛が典型的ですが、急激な脱毛、円形・斑状の脱毛、強い赤みや痛みなどを伴う場合は、AGA以外の原因も考える必要があります。
- ポイント:育毛剤を選ぶ前提として、脱毛の原因を自己判断でAGAに決めつけないことが大切です。
AGA治療薬の作用を代替できるとはいえない
男性AGAで用いられるフィナステリドやデュタステリドは、AGAの病態に関係するDHT(ジヒドロテストステロン)の産生に関わる5α還元酵素を阻害する薬です。
- 医薬部外品の育毛剤は、これらの医療用医薬品と同じ治療作用を持つものとして承認されているわけではありません。
- ポイント:育毛剤とAGA治療薬は、目的・作用・承認上の位置づけが異なります。
使用量を増やせば効果が高まるとは限らない
薄毛が気になるからといって、表示された使用方法を超えて大量に塗布する必要はありません。
- 製品ごとに定められた使用方法を確認し、頭皮に赤み、かゆみ、刺激などの異常が出た場合は使用を見直します。
- ポイント:育毛剤は「多く使うほど効く」と考えず、製品表示に沿って使用しましょう。
育毛剤・発毛剤・AGA治療薬は何が違う?
AGA対策では、「育毛剤」「発毛剤」「治療薬」という言葉を混同しないことが重要です。選ぶ基準は、現在の目的が頭皮・毛髪のケアなのか、発毛なのか、AGAの進行抑制なのかによって変わります。
育毛剤は医薬部外品として育毛・脱毛予防などを目的とする
医薬部外品の育毛剤は、脱毛の防止や育毛を目的とする外用剤です。承認された効能・効果には、育毛、薄毛、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進などがあります。
育毛剤の位置づけの例
- 現在生えている毛髪や頭皮のケアを考える
- 承認された育毛・脱毛予防などを目的に使う
- 医薬品の発毛剤とは区別する
- AGA治療薬の代替として扱わない
「育毛」という目的と「AGAを治療する」という目的を同一視しないようにしましょう。
ミノキシジル外用薬は発毛を目的とする医薬品
国内には、ミノキシジルを有効成分とし、壮年性脱毛症における発毛、育毛、脱毛の進行予防などを効能・効果とする一般用医薬品があります。
- ただし、製品によって対象となる性別、濃度、年齢、用法・用量、使用できないケースなどが異なります。
- 購入・使用時には個別製品の最新添付文書を確認する必要があります。
ミノキシジル外用薬は「育毛剤の強い版」ではなく、医薬品として別に考えましょう。
フィナステリドは男性AGAの進行抑制に用いられる
フィナステリドは5α還元酵素を阻害し、男性AGAに関係するDHTの産生を抑える医療用医薬品です。
| 確認点 | 内容 |
|---|---|
| ポイント1 | 日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでは、男性型脱毛症に対するフィナステリド内服は推奨度Aとされています。 |
| ポイント2 | ポイント:フィナステリドはAGAの病態に対応する医薬品であり、医薬部外品の育毛剤とは役割が異なります。 |
デュタステリドも男性AGAの治療選択肢
デュタステリドも5α還元酵素を阻害する医療用医薬品で、国内には男性における男性型脱毛症を効能・効果とする製剤があります。
| 確認点 | 内容 |
|---|---|
| ポイント1 | 日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでは、男性型脱毛症に対するデュタステリド内服も推奨度Aです。 |
| ポイント2 | 適応、用法・用量、禁忌、副作用などは最新の添付文書に基づいて確認します。 |
フィナステリドとデュタステリドも同一の薬ではないため、個別に特徴と注意点を確認しましょう。
AGAが疑われる人は育毛剤と治療をどう選ぶ?
「育毛剤から始めるべきか、AGA治療を受けるべきか」は、商品だけを比較して決めるのではなく、薄毛の原因と目的から考えます。
まず生え際・頭頂部の進行を確認する
AGAが気になる場合は、現在の毛量だけではなく、以前と比較した変化を確認します。
- 生え際が徐々に後退している
- M字部分の剃り込みが深くなっている
- つむじ・頭頂部の地肌が広がっている
- 細く短い毛が増えている
写真を同じ照明・角度で残しておくと、変化を比較しやすくなります。
育毛剤を選ぶ前に、AGAらしい進行があるかを確認しましょう。
頭皮ケアが目的なら育毛剤の効能を確認する
薄毛が気になるものの、AGA治療ではなく、まず育毛・脱毛予防などを目的に医薬部外品を使いたい場合は、個別商品の効能・効果と使用方法を確認します。
- 広告で「AGA対策」と大きく書かれていても、製品として何が承認されているかは別に確認する必要があります。
- ポイント:購入判断では、広告表現より製品区分と承認された効能・効果を優先しましょう。
AGAの進行抑制・発毛を目的とするなら医薬品を検討する
AGAと診断され、進行抑制や発毛を目的とする場合は、医薬部外品の育毛剤とは別に、AGAに対して用いられる医薬品が選択肢になります。
| 確認点 | 内容 |
|---|---|
| ポイント1 | 日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでは、男性AGAに対するフィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用はいずれも推奨度Aです。 |
| ポイント2 | ポイント:「育毛」と「AGAの進行抑制・発毛治療」で目的を分けると、選択肢を整理しやすくなります。 |
急激・斑状の脱毛や頭皮症状があるなら原因確認を優先する
AGAは一般に徐々に進行します。
AGAらしくない変化がある場合は、商品選びより診断につなげることが重要です。
- 短期間で大量に抜けた、円形・斑状に抜けた、頭皮に強い赤み・痛み・かゆみがあるといった場合は、AGA以外の脱毛症や頭皮疾患も考える必要があります。
- そのような場合は、育毛剤を試し続けるより、皮膚科などで原因を確認することを優先します。
AGAに育毛剤を使うときの注意点
育毛剤は身近に購入できる製品もありますが、「薄毛向けだから何を使っても同じ」というわけではありません。表示と頭皮の状態を確認して使いましょう。
「医薬部外品」と「医薬品」をパッケージで確認する
まず確認したいのは製品の区分です。育毛剤には医薬部外品があり、ミノキシジル外用薬などには一般用医薬品があります。
確認項目の例
- 医薬部外品か医薬品か
- 有効成分は何か
- 効能・効果は何か
- 誰を対象としているか
「育毛」「発毛」という商品名だけで区分を判断しないようにしましょう。
配合成分だけでAGAへの効果を判断しない
育毛剤にはさまざまな有効成分や保湿成分などが配合されています。
- しかし、「この成分が入っているからAGAが治る」と、成分の存在だけから治療効果を判断することはできません。
- 製品として認められている効能・効果と、AGA治療に関する医学的根拠を分けて確認します。
成分名のイメージではなく、製品区分と承認内容を確認しましょう。
頭皮に異常が出たら無理に使い続けない
育毛剤を使用して赤み、かゆみ、痛み、発疹などが現れた場合は、「効いている反応」と自己判断して使い続けないことが大切です。
- 製品の注意事項に従い、症状が強い・長引く場合は医師や薬剤師などへ相談します。
- ポイント:刺激が強いほど育毛効果が高いということではありません。
複数の製品を重ねれば効果が高まるとは限らない
育毛剤、発毛剤、頭皮ローションなどを自己判断で多数重ねても、その分だけ効果が高くなるとは限りません。
- むしろ頭皮刺激が増えたり、どの製品が症状の原因か分かりにくくなったりする場合があります。
- 特に医薬品を併用する場合は、添付文書や医師・薬剤師の説明を確認します。







