ホルモンは毛髪の成長に関係しますが、「男性ホルモンが多いほど薄毛になる」と単純に説明することはできません。AGAでは、アンドロゲンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が、感受性のある毛包に作用することが重要です。血液中のホルモン量だけでAGAの有無や進行度を判断するものではありません。
ホルモンと髪の成長にはどんな関係がある?
毛包はホルモンを含むさまざまな体内シグナルの影響を受けます。ただし、毛髪の成長には毛周期、遺伝、年齢、病気、薬剤など多くの要素が関わります。
毛髪は成長と休止を繰り返す
毛髪には成長期、退行期、休止期などの周期があります。脱毛症ではこの周期が乱れたり、毛包が障害されたりすることがあります。
「ホルモンのせい」と一括りにしない
薄毛の原因は複数あります。円形脱毛症や感染、内科的疾患、薬剤などが関係する場合もあるため、見た目だけでホルモン異常と決めつけません。
AGAではDHTがどう関係する?
男性型脱毛症では、テストステロンから5α還元酵素によって作られるDHTがアンドロゲン受容体を介して毛包に作用し、毛の成長期を短くする方向に働きます。
結果として毛が細く短くなる
成長期が短くなると、十分に太く長く育つ前に毛周期が進み、前頭部や頭頂部の毛が徐々に細く短くなる「軟毛化」が起こります。
血液中のテストステロン値だけでは診断できない
AGAは一般に、生え際や頭頂部の毛髪所見、進行の経過、家族歴などを組み合わせて判断します。「ホルモン値が高い=AGA」とは扱いません。
【AGAで確認すること】
- 生え際の後退
- 前頭部・頭頂部の軟毛化
- 徐々に進行しているか
- 家族歴
ホルモン検査は誰にでも必要?
薄毛の診察で、全員に同じホルモン検査を行うわけではありません。症状や性別、体調、服薬状況などから必要性が判断されます。
全身症状がある場合は別の病気も確認する
脱毛に加えて体重変化、強い疲労感、月経の変化など全身の症状がある場合は、AGAだけに絞らず医療機関へ相談します。必要な検査は医師が症状に応じて判断します。
【自己判断で避けたいこと】
- 市販検査の数値だけでAGAと決める
- ホルモン製剤を自己判断で使用する
- 個人輸入薬で治療を始める
- 急な脱毛をAGAとして放置する
薄毛が気になるときは「部位と経過」を見る
ホルモンという言葉に注目しすぎるより、いつから、どの部位が、どのように変化したかを整理する方が診断につながります。
写真で毛髪の変化を残す
生え際・頭頂部・分け目を同じ条件で撮影しておくと、進行の有無を比較しやすくなります。急速な脱毛や頭皮症状がある場合は記録だけで長期間様子を見ません。
- 変化に気づいた時期
- 薄くなった部位
- 家族歴
- 体調の変化
- 服用中の薬・サプリメント
参考資料:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」;日本皮膚科学会「脱毛症 皮膚科Q&A Q4・Q6」