薄毛が生え際から頭頂部まで広範囲に及んでいても、自毛植毛を検討できる場合があります。ただし、自毛植毛で使えるドナーには限りがあるため、広範囲をすべて同じ高密度で埋められるとは限りません。どの部位を優先するか、どの程度の密度を目指すか、将来分のドナーをどれだけ残すかを考えることが重要です。
広範囲の薄毛でも自毛植毛はできる?
適応は薄毛の範囲だけでなく、後頭部・側頭部のドナー状態や脱毛原因などを診察して判断します。
広い範囲への移植も検討できる
十分なドナーがあり適応があれば、生え際・前頭部・頭頂部などへの移植を計画できます。
- 生え際
- 前頭部
- 頭頂部
ドナーが不足する場合がある
移植面積が大きいほど多くのグラフトが必要になるため、希望範囲すべてを高密度にできない場合があります。
移植したい面積と、実際に安全に採取できるドナー量は別に考えます。
ドナーの質も確認する
本数だけでなく密度、毛径、採取歴などを確認して計画します。
- ドナー密度
- 毛の太さ
- 過去の採取
原因の確認が必要
広範囲の脱毛がすべてAGAとは限らず、急な脱毛や頭皮症状があれば他の原因も含めて診察します。
広範囲に薄いという見た目だけでAGAと決め、植毛を前提にしないでください。
自毛植毛で使えるドナー量には限りがある
後頭部などのドナーを採取しても、その部位が不自然に薄くならないよう残す必要があります。
採取できる毛包は無限ではない
一度採取した毛包が同じ採取部に新たに増えるわけではないため、長期的な配分が重要です。
- 現在の採取
- 残存ドナー
- 将来の追加手術
過剰採取を避ける
FUEで局所的に採取しすぎると、後頭部が薄く見える可能性があります。
- 採取密度
- 分散
- ドナーの見え方
FUT・FUEで採取方法が異なる
採取法によって傷跡やドナー管理の考え方が異なるため、適した方法を医師と相談します。
- FUE
- FUT
- 傷跡・採取計画
将来のために残す発想が必要
AGAなど進行性の薄毛では、追加植毛が必要になる可能性もあります。
一度の手術で最大限採ることより、生涯のドナー配分を考えることが重要です。
広範囲ではどこを優先する?
ドナーが限られる場合は、見た目への影響と本人の希望から優先順位を決めます。
生え際・前頭部を優先する考え方
正面から見える範囲を優先すると、限られた株数でも印象を変えやすい場合があります。
- 生え際
- M字
- 前頭部
頭頂部も含めて配分する考え方
頭頂部の透けが強く気になる場合は、前頭部とのバランスを見ながら配分します。
- つむじ
- 頭頂部
- 前頭部との比率
全域を均等に薄く配置するとは限らない
重要部位へ密度を寄せ、その他は低めにするなど複数の計画が考えられます。
- 重点配置
- 広範囲配置
- 段階的手術
本人の希望を明確にする
最も改善したい部位を医師へ伝え、ドナー制限の中で現実的な目標を共有します。
「全部を最大密度」ではなく、限られた株数でどこを優先するかを決めます。
広範囲の自毛植毛で確認したいこと
一回の手術だけでなく、既存毛の維持や将来の追加治療まで含めて計画します。
複数回の手術の可能性を聞く
広範囲では段階的な植毛が提案される場合があります。
- 1回目の範囲
- 追加手術
- 残すドナー
既存毛の治療を相談する
AGAと診断された場合など、既存毛の維持を目的とした薬物治療が適するか医師と相談します。
植毛を受けたからとAGA治療薬を自己判断で中止・変更しないでください。
費用は長期計画で見る
複数回手術や治療継続の可能性も含めて費用を確認します。
| 確認 | 内容 |
|---|---|
| 初回 | 範囲・株数・総額 |
| 将来 | 追加植毛の可能性 |
| 維持 | 既存毛の治療 |
現実的な仕上がりを共有する
ドナー量に制限がある場合、希望と可能な密度の差を術前に確認します。
広範囲植毛では「できるか」だけでなく、どの範囲をどの密度で実現できるかまで確認しましょう。
参照資料:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」、NHS「Hair transplant」、ISHRS「FUE」「FUT」