自毛植毛後に、採取部や移植部の感覚が鈍い、ピリピリする、しびれるように感じることがあります。手術では頭皮に局所麻酔を行い、採取や移植のための処置をするため、術後に一時的な感覚変化が生じる場合があります。ただし、回復までの期間には個人差があり、「○カ月で必ず治る」と一律にはいえません。 しびれが強くなる、痛みや筋力・顔面の動きの異常など別の神経症状を伴う場合は医療機関へ相談してください。
自毛植毛後に頭皮がしびれることはある?
自毛植毛後には頭皮の感覚が普段と違うと感じる場合があります。術式や処置範囲によって部位や程度は異なります。
採取部の感覚が鈍くなる場合がある
FUEでは多数の小さな採取孔、FUTでは切開・縫合を伴うため、周囲の感覚に変化を感じることがあります。
【感覚変化の例】
- 触った感覚が鈍い
- ピリピリする
- つっぱる
- しびれる感じ
症状の程度と範囲を記録します。
移植部でも感覚が変わる場合がある
移植部にも多数の小さな処置を行うため、術後に感覚の違和感が生じる場合があります。
- 前頭部
- 生え際
- 頭頂部
- 症状が左右で違うか
どこに症状があるか担当医へ具体的に伝えます。
麻酔直後の感覚変化と術後のしびれを分ける
局所麻酔が効いている間の感覚低下と、術後に続く感覚変化は同じとは限りません。
【経過を見る】
- 手術直後からか
- 麻酔が切れた後も続くか
- 改善しているか
- 悪化しているか
術後説明で予想される経過を確認しておきます。
FUEとFUTで症状の出方が同じとは限らない
採取方法が異なるため、創部や周囲組織への処置も異なります。
【術式情報】
- FUEかFUTか
- 採取範囲
- 縫合の有無
- 手術歴
自分が受けた術式を伝えて相談します。
しびれ・感覚変化の回復はどう考える?
頭皮の感覚が鈍い状態は数カ月かけて改善することがあります。ISHRSの患者向け資料では2〜8カ月程度の経過が示されていますが、長引いたり感覚の変化が残ったりする場合もあります。局所麻酔が切れるまでの短い時間と、手術による感覚変化の回復期間を混同しないでください。
術後の感覚変化は時間とともに改善する場合がありますが、回復速度には個人差があります。固定した期限で正常・異常を分けないようにします。
徐々に範囲が狭くなるかを見る
感覚の鈍い範囲や強さが少しずつ改善しているか確認します。
- 範囲
- 強さ
- ピリピリ感
- 日常生活への影響
頭皮の図や写真に範囲を記録してもよいでしょう。
回復途中に感覚が変化する場合もある
しびれだけでなく、むずむず感やピリピリ感などを感じる場合があります。
【伝え方】
- しびれ
- 痛み
- かゆみ
- 触覚の変化
症状の性質が変わった場合も担当医へ共有します。
長引く場合は診察で確認する
改善が乏しい、生活に支障があるなどの場合は、手術を受けた医療機関で評価を受けます。
【相談を考える】
- 改善しない
- 範囲が広がる
- 痛みが強い
- 生活に支障
ネット上の平均期間だけで放置しないことが重要です。
再手術歴がある場合も伝える
過去に同じ部位から採取している場合など、手術歴は評価に必要な情報です。
【既往情報】
- 過去のFUE
- 過去のFUT
- 傷跡治療
- 頭皮の外傷
初診時から正確に伝えます。
早めに医療機関へ相談したい症状
しびれだけでなく、強い痛みや感染を疑う症状、ほかの神経症状を伴う場合は確認が必要です。
しびれが急に悪化・拡大する
時間とともに強くなる感覚異常は施術施設へ相談します。
【連絡を考える】
- 範囲が急に拡大
- 強い灼熱感
- 激しい痛み
- 症状が急変
急激な変化は通常経過と決めつけないようにします。
発熱や創部の炎症を伴う
赤み、腫れ、膿などがある場合は感染等の評価が必要です。
【併発症状】
- 発熱
- 赤み・熱感
- 膿
- 腫れの増悪
自己判断で抗菌薬や消毒薬を使用せず相談します。
頭皮以外の神経症状がある
顔の動かしにくさ、手足のしびれなど、植毛部だけでは説明しにくい症状がある場合は別の原因も考える必要があります。
【緊急性を考える症状】
- 顔面の動きの異常
- 突然の片側の手足のしびれ・脱力
- ろれつが回らない
- 意識の異常
突然の顔のゆがみ、片側の手足の脱力、ろれつが回らない、意識の異常がある場合は、すぐ119番へ連絡してください。症状が始まった時刻を伝え、施術院の返答を待たないでください。
強い頭痛や体調不良を伴う
しびれ以外に強い全身症状がある場合も医療機関へ相談します。
【伝える】
- 頭痛
- 吐き気
- めまい
- 発症時刻
症状が重い場合は救急受診が必要になることがあります。
手術前後に確認しておきたいこと
感覚変化が出た場合に備え、術式ごとのリスクや連絡方法を事前に確認します。
感覚変化について術前説明を受ける
自分が受ける術式で起こり得る症状を医師へ質問します。
- しびれの可能性
- 想定される部位
- 経過の説明
- 受診目安
リスク説明を理解してから手術を判断します。
採取範囲を確認する
特に広い範囲から採取する場合は、術後の見た目と感覚変化の説明を受けます。
【ドナー】
- 採取範囲
- 予定株数
- 傷跡
- 術後ケア
移植先だけでなく採取側の説明も重要です。
経過を定期的に記録する
感覚は写真に写りませんが、範囲を図やメモで残せます。
【記録方法】
- 範囲を図示
- 強さをメモ
- 痛みの有無
- 変化した日
診察時に具体的な情報として役立ちます。
回復期限を自己設定しない
感覚の回復には個人差があります。
自毛植毛後には頭皮のしびれや感覚低下が生じる場合があり、時間とともに改善することもあります。ただし回復時期は一律ではありません。悪化・拡大するしびれ、強い痛み、感染症状、頭皮以外の急な神経症状がある場合は医療機関へ相談しましょう。
術後の経過については施術した医師の説明を優先してください。
参照資料:ISHRS患者向けパンフレット(2005年)、日本脳卒中学会「脳卒中の症状と対応」