男性がデュタステリドを服用しているという理由だけで「子作りはできない」と一律に判断することはできませんが、精液所見への影響や精液中への薬剤移行が確認されているため、妊活中は処方医へ服用状況を伝えて相談することが大切です。
また、デュタステリドは男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性があり、妊婦や妊娠している可能性のある女性が漏れた薬剤へ直接触れないよう注意が必要です。男性本人の服用と、女性が薬剤へ直接曝露する場合は分けて考えます。
デュタステリド服用中に子作りしても大丈夫?
妊活中の男性がデュタステリドを服用している場合、服用の事実だけで妊娠を一律に禁止するものではありません。ただし、精液や性機能への影響を踏まえて個別に相談します。
男性の服用だけで妊娠不可とはいえない
デュタステリドは男性AGAの治療薬です。男性が服用中であることだけを理由に、子作りそのものができないと断定することはできません。
【妊活時に分けて考えること】
- 男性本人の精液所見への影響
- 性機能への影響
- 精液中への薬剤移行
- 女性が薬剤へ直接触れる場合の注意
これらは同じ問題ではないため、分けて確認します。
精液所見への影響は確認されている
健康成人男性を対象とした試験では、デュタステリド0.5mg投与により精液量、総精子数、精子運動率の平均値が低下したことが添付文書に記載されています。
「服用しても精子にはまったく影響しない」とは言い切れないため、妊活中は服用状況を医師へ共有します。
一方、精液所見の変化だけで不妊になると断定することもできません。
精液中にデュタステリドが移行する
デュタステリドは精液中への移行が確認されています。妊活中にこの点が不安な場合は、自己判断で結論を出さず医師へ相談します。
【妊活中の確認事項】
- 服用している薬剤名と用量
- 妊活の時期
- 精液所見への不安
- 治療継続の希望
個別の状況に応じて治療方針を検討します。
性機能への影響も妊活に関係する
リビドー減退、勃起不全、射精障害を含む性機能不全も副作用として記載されています。
- 性欲の低下
- 勃起機能の変化
- 射精に関する変化
- 症状が始まった時期
症状がある場合は妊活の状況と合わせて医師へ伝えます。
妊活時に特に注意したいデュタステリドの取り扱い
妊婦や妊娠している可能性のある女性は、カプセルから漏れたデュタステリドへ触れないよう注意が必要です。
デュタステリドは男子胎児へ影響する可能性がある
デュタステリドはDHTを低下させる作用があり、妊婦が曝露した場合、男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性があります。
【妊婦等への注意】
- 女性には投与しない
- 妊婦等は漏れた薬剤へ触れない
- 家庭内で適切に保管する
これは男性本人の服用とは別に必要な薬剤取り扱い上の注意です。
漏れた薬剤に触れた場合は洗い流す
デュタステリドは経皮吸収されます。女性が漏れた薬剤に触れた場合は、直ちに石けんと水で洗うことが添付文書で案内されています。
【漏れた場合の対応】
- 薬剤への接触を避ける
- 触れた皮膚を石けんと水で洗う
- 破損したカプセルを適切に扱う
カプセルの保管場所にも注意します。
精液中への移行と直接接触を混同しない
精液中に薬剤が移行することと、妊婦がカプセルから漏れた薬剤へ直接触れることは曝露の状況が異なります。
「男性が飲んでいること」と「女性が薬剤へ直接触れること」を同じリスクとして説明しないことが重要です。
それぞれについて添付文書上の注意を確認します。
薬をパートナーと共有しない
デュタステリドは男性AGAに対する処方薬であり、女性や小児等には投与しません。
【家庭内で避けること】
- 薬を他人へ渡す
- カプセルを不用意に開ける
- 子どもの手が届く場所に置く
処方された本人が適切に管理します。
妊活のためにデュタステリドを中止したほうがいい?
妊活を理由に服用を変更する場合も、自己判断で中止時期や休薬期間を決めず、処方医と相談します。
一律の休薬期間を自己設定しない
デュタステリドは半減期が長く、服用をやめてもすぐに体内からなくなる薬ではありません。そのため、「子作りの何日前にやめればよい」と独自に期間を設定するのは避けます。
【自己判断を避けること】
- 独自に休薬期間を決める
- 妊活日だけ服用を調整する
- 別のAGA薬へ勝手に変更する
妊活とAGA治療の両方を踏まえて方針を検討します。
精液所見が心配なら検査を相談する
妊活が長引いている場合や精液への影響が気になる場合は、精液検査などが必要か医師へ相談します。
【相談の材料】
- 妊活期間
- デュタステリドの服用期間
- 過去の精液検査結果
- 性機能の変化
必要な検査は個別に判断されます。
AGA治療への影響も確認する
デュタステリドの中止や変更はAGA治療にも影響します。妊活だけでなく、現在の治療効果や今後の希望も共有します。
【治療変更を考える軸】
- 妊活の予定
- AGAへの治療効果
- 精液所見への懸念
- 本人の希望
一律の対応ではなく個別に方針を決めます。
中止・変更後も医師と経過を確認する
服用方法を変更した場合も、AGAの状態や妊活の状況を確認しながら経過を見ます。
妊活のための治療変更は一度決めて終わりではなく、その後の経過も含めて医師と確認します。
必要に応じて方針を見直します。
デュタステリド服用中の妊活で医師に相談したいこと
妊活中は「薬を続けるか」だけでなく、精液所見、性機能、AGA治療の優先度をまとめて相談すると判断しやすくなります。
服用状況を正確に伝える
薬剤名、用量、服用期間を医師へ伝えます。AGAの処方医と妊活を担当する医師が異なる場合は双方に共有します。
- 薬剤名
- 用量
- 服用期間
- ほかに使用している薬
正確な服薬情報が判断材料になります。
妊活の予定や状況を伝える
これから妊活を始めるのか、すでに妊活中なのか、不妊治療を受けているのかによって相談内容は変わります。
- 妊活開始の予定
- 現在の妊活期間
- 不妊治療の有無
- 過去の検査結果
状況に応じて必要な対応を検討します。
「絶対に安全」「絶対に危険」と自己判断しない
精液所見への影響や薬剤の曝露については、複数の論点があります。一つの情報だけで妊活の可否を決めないようにします。
デュタステリド服用中の妊活は、添付文書の情報と個別の状況を踏まえて医師と相談します。
不安があれば妊活開始前にも相談できます。
パートナーにも取り扱い上の注意を共有する
特に妊娠中または妊娠の可能性があるパートナーには、漏れた薬剤へ触れないことなどを共有します。
【パートナーと共有する注意】
- 漏れた薬剤に触れない
- 薬を本人以外が服用しない
- 適切な場所で保管する
家庭内で安全に管理します。
参照資料:PMDA「ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 電子添文」(2025年8月改訂)


