フィナステリドでは、勃起機能不全(ED)やリビドー減退、射精障害などの性機能に関する副作用が報告されています。 ただし、服用すれば必ずEDになるわけではありません。症状が出たときは、自己判断で原因を決めつけたり用量を変更したりせず、処方医に相談して対応を考えることが大切です。
フィナステリドでEDになることはある?
フィナステリドは男性型脱毛症(AGA)の進行遅延に使われる5α還元酵素II型阻害薬です。国内の添付文書には、性機能に関する複数の副作用が記載されています。
勃起機能不全は添付文書に記載された副作用
プロペシアの添付文書では、勃起機能不全は「1%未満」の区分に記載されています。リビドー減退は「1~5%未満」、射精障害や精液量減少も「1%未満」の区分です。
【添付文書で確認できる性機能関連の副作用】
- リビドー減退
- 勃起機能不全
- 射精障害
- 精液量減少
頻度の区分は副作用ごとに異なります。「性機能障害が必ず起こる」と考えるのではなく、どのような症状が報告されているかを理解しておきましょう。
臨床研究でも性機能障害のリスクが検討されている
日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでは、フィナステリドの臨床研究をまとめたシステマティックレビューについて、性機能障害の相対危険度が1.39で、プラセボ群より上昇する傾向が示されたと紹介しています。一方、信頼区間は0.99~1.95であり、結果の解釈には幅があります。
- 相対危険度だけで個人の発症確率は決められない
- 研究結果と個人に起こる副作用は分けて考える
- 実際の症状は処方医に伝えて評価する
研究上のリスクが示されていても、「自分も必ずEDになる」「EDなら必ず薬が原因」とは判断できません。
服用中止後も症状が持続したとの報告がある
添付文書では、リビドー減退、勃起機能不全、射精障害について、市販後に投与中止後も持続したとの報告があるとされています。
【症状が出たときの注意】
- 自己判断で服用量を増減しない
- 発症時期や症状の程度を記録する
- 処方医に服用薬と症状を伝える
「中止すれば必ずすぐ戻る」と断定することも、「一度症状が出たら治らない」と考えることも適切ではありません。
フィナステリドとEDを考えるときに知っておきたいこと
服用中のEDにはフィナステリド以外の要因が関係している可能性もあります。 症状だけから原因を一つに決めないことが重要です。
EDには薬以外の原因もある
勃起機能は、年齢、生活習慣、心理的要因、基礎疾患、ほかの薬剤などさまざまな影響を受けます。そのため、フィナステリド服用中にEDが起きても、薬との因果関係を本人だけで確定することはできません。
【医師に伝えたい情報】
- フィナステリドを始めた時期
- EDなどの症状が始まった時期
- ほかに服用している薬
- 既往歴や最近の体調変化
服薬開始前後の変化を整理しておくと、診察時の判断材料になります。
不安そのものが性機能に影響する場合もある
性機能は心理状態の影響も受けるため、副作用への強い不安だけで薬の影響を断定することはできません。一方で、実際に添付文書に記載された副作用である以上、症状を軽視する必要もありません。
「気にしすぎ」と片づけるのでも、「薬が原因」と即断するのでもなく、症状と服薬状況を医師に伝えて評価することが大切です。
EDなどの症状が出たときはどうする?
性機能の変化が気になる場合は、AGA治療の継続だけでなく、症状への対応も含めて処方医に相談します。
自己判断で増量・減量・休薬を繰り返さない
フィナステリドの国内承認用量は、男性成人で通常0.2mgを1日1回、必要に応じて1mgまでです。副作用が気になるからと服用日を不規則にしたり、自分で用量を調整したりすると、治療状況の評価もしにくくなります。
【相談前に整理すること】
- 現在の用量と服用期間
- 症状の種類と程度
- 症状が続いている期間
- AGA治療を今後どうしたいか
治療継続の可否や変更は、症状とAGA治療の目的を踏まえて医師と相談します。
性機能以外の副作用にも目を向ける
フィナステリドの添付文書には、肝機能障害のほか、抑うつ症状なども記載されています。また、因果関係は明らかではないものの、自殺念慮・自殺企図・自殺既遂の報告についても注意喚起されています。自殺念慮または自殺企図が現れた場合は服用を中止し、速やかに医師等へ連絡してください。
【速やかな相談が必要な症状】
- 強い気分の落ち込みなど精神状態の変化
- 自殺念慮や自殺企図
- その他、服用後に現れた強い異常
性機能だけに注目せず、服用後の体調変化を総合的に確認することが重要です。
フィナステリドの性機能障害について覚えておきたいこと
EDはフィナステリドで報告されている副作用ですが、服用者全員に起こるものではなく、症状だけで原因を確定することもできません。 不安がある場合は、添付文書の情報を基に処方医と相談しましょう。
治療効果と副作用の両方を確認して続ける
AGA治療では発毛・進行遅延だけでなく、継続中の体調や生活への影響も重要です。副作用が気になる場合は我慢して続けることを前提にせず、治療方針を相談します。
フィナステリド服用中のEDや性欲低下が気になるときは、自己判断で結論を出さず、症状の経過を記録して処方医へ相談しましょう。
参照資料:PMDA「プロペシア錠0.2mg/1mg 電子添文」(2023年8月改訂)、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
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