自毛植毛を検討するとき、国内だけでなく海外の医療機関が候補になることがあります。ただし、国だけで「国内のほうがよい」「海外なら費用面で有利」と決めることはできません。比較すべきなのは、手術方法や費用だけでなく、執刀体制、術後フォロー、合併症が起きた場合の受診方法、渡航費・滞在費まで含めた総条件です。
この記事では、国内と海外の自毛植毛を比較するときに確認したいポイントと、それぞれが選択肢になりやすい条件を整理します。
国内と海外の自毛植毛はどちらが向いている?
国内・海外という所在地だけでは適否を判断できず、自分が重視する条件と医療機関の診療体制を照らして選ぶ必要があります。日本皮膚科学会のガイドラインでも、自毛植毛は十分な経験と技術を有する医師が行うことが重要とされています。
術後の通いやすさを重視するなら国内を比較しやすい
国内で受ける場合、術後診察やトラブル時に同じ医療機関へ再受診しやすいことがあります。ただし、遠方の国内院で手術を受ける場合は移動負担もあるため、所在地だけでなく実際の通院時間を確認します。
海外を選ぶなら渡航を含めた診療計画が必要
海外では手術前後に航空移動や宿泊が必要になります。現地で何日滞在するのか、術後診察をいつ受けるのか、帰国後の相談窓口があるのかまで確認します。
価格だけで決めない
表示された手術料金が低くても、渡航費、宿泊費、通訳費、検査費、薬代、追加処置などを含めると総額は変わります。同じ条件で比較できるよう費用範囲を確認しましょう。
国内と海外で比較したい医療面のポイント
自毛植毛は医療行為であるため、料金比較より先に、誰が診察・デザイン・採取・移植を担当するのか、合併症時にどう対応するのかを確認することが重要です。
医師の経験と担当範囲
症例数の数字だけでなく、自分と近い薄毛範囲や希望する術式の経験、手術工程のうち医師が担当する範囲を確認します。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、自毛植毛について十分な経験と技術を有する医師が行うことが示されています。
FUE・FUTなど術式の説明
同じ自毛植毛でも、ドナー採取にはFUEやFUTなどの方法があります。傷あと、採取方法、必要なグラフト数、ドナーの状態を踏まえて、なぜその術式を提案するのか説明を受けます。
術後トラブル時の対応
出血、感染が疑われる症状、強い腫れなどが起きた場合に、どこへ連絡し、どの医療機関で診察を受けられるのかを確認します。海外手術では帰国後の対応方法が特に重要です。
海外で自毛植毛を受ける場合の追加確認
海外では手術そのものに加え、言語、渡航、薬の持ち込み、帰国後のフォローなど国内手術にはない確認事項があります。
説明を十分に理解できるか
手術内容、リスク、同意書、薬の使用方法について、本人が理解できる言語で説明を受けられるか確認します。通訳を利用する場合は、医療通訳の体制や追加料金も確認しておきましょう。
薬を持参する場合は渡航先の制度を確認する
厚生労働省は、海外へ医薬品を携帯する場合、国によって診断書などの書類、数量制限、事前許可が必要になることがあると案内しています。服用薬がある場合は渡航前に確認が必要です。
帰国後のフォロー方法を確認する
オンライン相談の有無だけでなく、実際に診察や処置が必要になった場合の対応を確認します。帰国後に国内の別医療機関を受診する場合に備え、手術記録や使用薬を受け取れるかも確認するとよいでしょう。
国内・海外を比較するときのチェックポイント
「1グラフトあたりの価格」や症例写真だけで決めず、最終的に必要な費用と術後までの診療体制を比較してください。
総額に含まれる項目をそろえる
手術代だけでなく、診察、検査、麻酔、薬、術後診察、交通・渡航、宿泊などを分けて確認します。追加料金が発生する条件も質問します。
症例写真の条件を見る
術前・術後の撮影条件、術後何か月の写真か、同程度の薄毛範囲かを確認します。症例写真は参考になりますが、自分にも同じ結果が出る保証ではありません。
キャンセルや追加手術の条件を確認する
予約金、キャンセル料、日程変更、予定グラフト数を採取できなかった場合、追加手術を希望する場合の扱いを契約前に確認します。海外では渡航手配の変更費用も考慮します。
参照資料:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」、NHS「Hair transplant」、厚生労働省「海外で医療を受ける前に」