自毛植毛後は、ワックスやヘアスプレーなどの整髪料をすぐに移植部へ使うのは避けます。国際毛髪外科学会(ISHRS)は、術後の治癒が完了するまではスタイリング剤を使用せず、治癒後に使用するよう案内しています。また、同学会の術後指示例には少なくとも5日間スタイリング製品を避ける記載がありますが、これは全員共通の解禁日ではありません。
この記事では、自毛植毛後にワックス・スプレーなどを控える理由と、再開するときの確認ポイントを解説します。
自毛植毛後はいつから整髪料を使える?
整髪料の再開は「術後○日」という数字だけでなく、移植部の創傷治癒とかさぶた・赤みなどの状態を確認して決めます。
ISHRSは治癒完了前のスタイリング剤を避けるよう案内している
ISHRSの患者向け情報では、術後早期は治癒を妨げる可能性があるヘアケア製品を避け、治癒が完了してからスタイリング剤を使うよう説明しています。
術後指示例には少なくとも5日間避ける記載がある
ISHRSの手術助手向け教材に掲載された術後指示例では、少なくとも5日間はスタイリング製品を避けるよう記載されています。ただし、これは一施設の指示例であり、5日目から全員が使用可能という意味ではありません。
施術医の許可を確認する
移植範囲、FUE・FUTの違い、治癒速度、使用したい製品によって条件は異なります。医療機関から具体的な開始日を指示されている場合は、その内容を優先します。
ワックス・スプレーを術後すぐ使わない理由
問題になるのは製品成分だけではなく、塗る・こする・洗い落とすという一連の動作が治癒途中の移植部へ刺激になることです。
塗布時に移植部へ触れる
ワックスやジェルは指で髪になじませるため、移植部の毛や頭皮をこすりやすくなります。術後早期は物理的な刺激を避ける必要があります。
スプレーが未治癒の頭皮を刺激することがある
ISHRSは、治癒前の頭皮にスタイリング剤を使用すると、しみたり灼熱感を生じたりする可能性があると説明しています。
落とすための洗髪にも負担がかかる
整髪料を使えば、通常はその後に洗い流す必要があります。術後早期は洗髪方法にも制限があるため、強い洗浄やこすり洗いが必要な製品は適しません。
整髪料を再開するときのポイント
使用が許可されたあとも、最初は移植部へ強く触れず、少量から使って頭皮の状態を確認します。
かさぶたや傷の状態を確認する
移植部にかさぶたが残っている、出血する、強い赤みや痛みがある場合は、整髪料を使う前に医療機関へ確認してください。
頭皮へ直接大量につけない
整髪料は髪を整えるための製品です。再開直後は頭皮へすり込まず、移植部を強く押さえない使い方を心がけます。
やさしく落とせる製品か確認する
強い洗浄や何度ものシャンプーが必要な製品より、医療機関から許可された洗髪方法で落とせるものが扱いやすいでしょう。
整髪料を使って異常が出た場合
使用後に強いヒリつき、赤み、腫れ、痛みなどが出た場合は使用を中止し、症状が続く場合は施術した医療機関へ相談してください。
刺激を感じたら洗い流し方も確認する
術後早期は通常のように強くこすって落とせない場合があります。刺激が出たからといって強く洗わず、医療機関から指示された洗髪方法に従います。
製品名や成分を伝える
診察が必要になった場合は、使用したワックス、ジェル、スプレーなどの商品名や成分表示が分かると状況を伝えやすくなります。
頭皮症状がある間は再使用を急がない
赤みや刺激が続いている状態で別の整髪料を次々試すのではなく、頭皮が落ち着くまで待ち、必要に応じて医師へ相談します。
参照資料:JCAS「Recipient Area」、ISHRS「A Guide to Hair Transplant for Women」、NHS「Hair transplant」