L-リジン(リシン)は、体内で必要量を合成できないため食事から摂取する必要がある必須アミノ酸です。髪もたんぱく質から作られるため、リジンは毛髪形成と無関係な栄養素ではありません。しかし、「L-リジンをサプリメントで追加摂取すればAGAが改善する」「発毛剤のように髪を生やす」と断定できる十分な根拠があるわけではありません。
L-リジンは必須アミノ酸の一つ
リジンは、成人に必要な9種類の必須アミノ酸の一つです。体内で必要量を作れないため、食事に含まれるたんぱく質から摂取する必要があります。
体のたんぱく質を構成する材料になる
アミノ酸はたんぱく質の構成要素です。リジンも毛髪だけでなく、体内のさまざまなたんぱく質を作るために利用されます。
穀類では制限アミノ酸になることがある
厚生労働省の情報では、米、小麦、トウモロコシなどの穀物に含まれるたんぱく質では、リジンが必要量に対して少ない「制限アミノ酸」の一つになることがあると説明されています。食品を組み合わせてたんぱく質を摂ることが大切です。
【L-リジンの基本】
- リシンとも呼ばれる必須アミノ酸
- 食事から摂取する必要がある
- 体内のたんぱく質を構成する材料になる
- 毛髪だけに特化した栄養素ではない
アミノ酸は髪の材料となるたんぱく質に関係する
髪の主成分はケラチンというたんぱく質です。そのため、十分なたんぱく質と必須アミノ酸を摂取することは、毛髪を含む体の組織を作るための栄養という意味で重要です。
髪は一種類のアミノ酸だけで作られない
ケラチンは複数のアミノ酸からできています。L-リジンだけを摂取すれば髪の材料がすべてそろうわけではなく、食事全体の栄養バランスを考える必要があります。
栄養素として必要なことと育毛効果は別
リジンが必須アミノ酸であることは確かですが、それだけで「リジンサプリには発毛効果がある」という結論にはなりません。栄養学的な必要性と、薄毛治療としての有効性は分けて評価する必要があります。
L-リジンの育毛効果を断定できる根拠は限定的
薄毛向けのサプリメントにはL-リジンが配合されることがありますが、サプリメントとAGA治療薬は同じものではありません。L-リジン単独の追加摂取を、AGAに対する確立した発毛治療の代わりとして考えないようにしましょう。
サプリメント研究は根拠の質を確認する
AGAに対する栄養補助食品やニュートラシューティカルの研究はありますが、成分によって研究規模や方法が異なり、十分なデータがないものも多くあります。商品広告だけでなく、どの成分をどの対象者で検証した研究なのかを見ることが重要です。
AGA治療薬とは作用機序が異なる
フィナステリドやデュタステリドはDHTの生成に関わる5α還元酵素を阻害し、ミノキシジルは発毛に用いられる医薬品です。L-リジンは必須アミノ酸であり、これらの薬と同じ作用機序ではありません。
サプリメントより先に食事と薄毛の原因を確認する
L-リジンを摂りたい場合でも、まず普段の食事を確認することが基本です。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などを含む食品からたんぱく質を摂り、特定のアミノ酸だけに偏らない食生活を考えましょう。
サプリメントの重複摂取に注意する
複数の健康食品を利用すると、同じ成分を重複して摂取することがあります。また、サプリメントと医薬品が相互作用する可能性もあるため、治療中の人は医師や薬剤師へ利用中の製品を伝えましょう。
薄毛をリジン不足と自己診断しない
抜け毛や薄毛だけからリジン不足を判断することはできません。AGAやほかの脱毛症が関係する場合もあるため、進行する薄毛が気になる場合は医療機関へ相談してください。
L-リジンは毛髪を含む体のたんぱく質に関係する必須アミノ酸です。ただし、栄養素として重要であることと、サプリメントによる育毛効果が確立していることは別です。食生活の補助と薄毛治療を区別して考えましょう。