フィナステリドとデュタステリドは、どちらも男性型脱毛症(AGA)に用いられる5α還元酵素阻害薬ですが、作用する酵素の範囲や承認用量などに違いがあります。日本皮膚科学会の2017年版ガイドラインでは、男性型脱毛症に対してフィナステリド・デュタステリドはいずれも推奨度Aです。 一方で、効果・副作用・費用を単純な優劣だけで決めるのではなく、個人の状態と治療希望を踏まえて医師と選択することが重要です。
フィナステリドとデュタステリドの違い
両剤は同じ5α還元酵素阻害薬ですが、阻害する酵素の型や国内での用法が異なります。
阻害する5α還元酵素の範囲が異なる
フィナステリドは主にII型5α還元酵素を阻害し、デュタステリドはI型・II型を阻害します。
| 項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 薬の分類 | 5α還元酵素阻害薬 | 5α還元酵素阻害薬 |
| 主な阻害対象 | II型 | I型・II型 |
| AGAへの国内用法 | 通常0.2mgを1日1回、上限1mg | 通常0.1mgを1日1回、必要に応じ0.5mg |
| 男性AGAガイドライン推奨度 | A | A |
作用範囲の違いだけで、個々の患者にどちらが適切かを自動的に決めることはできません。
どちらも男性AGAに用いられる
日本皮膚科学会ガイドラインでは、男性型脱毛症に対する両剤の内服を強く勧めています。
【共通点】
- 男性型脱毛症に用いる
- 5α還元酵素を阻害する
- 1日1回の内服が基本
- 女性型脱毛症への内服は推奨されない
AGA以外の脱毛原因が疑われる場合は、薬の比較より診断確認が先です。
承認された用量が異なる
フィナステリドとデュタステリドでは、AGAに対して設定されている用量が異なります。
- 薬剤名
- 1回量
- 1日の回数
- 変更時の指示
mgの数字だけを比較して「多い方が強い」と判断しないようにします。
薬の切り替えは自己判断で行わない
どちらも処方薬であり、効果不安を理由に自己流で併用・切り替えすることは避けます。
【自己判断でしないこと】
- 2剤を同時に飲む
- 手元の薬へ勝手に切り替える
- 用量を増やす
- 副作用時に独自調整する
切り替えを希望する場合は、現在の服薬状況を処方医へ伝えます。
効果の違いはどう考える?
両剤にはAGAに対する有効性の根拠がありますが、デュタステリドがすべての評価項目・すべての人で必ず優れるとは言い切れません。
比較試験ではデュタステリドが優れた項目がある
日本皮膚科学会ガイドラインでは、917人の男性を対象に6カ月間比較した試験で、デュタステリド0.5mg/日はフィナステリド1mg/日より全毛髪数と毛直径の増加で優れた効果を示したとされています。
【比較試験の読み方】
- デュタステリドが優れた評価項目がある
- 硬毛数では有意差がなかった項目もある
- 試験条件と個人の結果は同じとは限らない
- 効果だけで薬を決めない
この結果から、すべての患者にデュタステリドを選ぶべきだと結論づけることはできません。
フィナステリドにも長期の有効性データがある
同ガイドラインでは、フィナステリドについて複数のランダム化比較試験やシステマティックレビューをもとに男性AGAへの推奨度Aとしています。
- 治療前の進行度
- 治療期間
- 服薬状況
- 写真などの客観的経過
薬剤名だけでなく、自分の治療経過を確認することが大切です。
効果判定には一定期間が必要
フィナステリドでは通常6カ月の連日投与、AGA用デュタステリドでも通常6カ月間の治療が効果評価の目安として添付文書に示されています。
【短期判断を避ける】
- 数週間で無効と決めない
- 自己増量しない
- 定期的に経過を確認する
- 効果不十分なら医師へ相談する
期間は効果を保証する数字ではなく、評価のための目安です。
進行抑制と見た目の改善を分けて考える
AGA治療では、現状より増えたかだけでなく、進行が抑えられているかという視点もあります。
【経過の確認方法】
- 同条件の写真
- 気になる部位
- 治療前との比較
- 診察での評価
期待する効果を医師と共有すると、治療継続の判断がしやすくなります。
副作用の違いと共通する注意点
両剤とも性機能に関する副作用が添付文書に記載されています。また、フィナステリドとデュタステリドのいずれも肝機能障害が重大な副作用として示されています。
性機能に関する副作用が記載されている
フィナステリド、デュタステリドとも、リビドー減退や勃起機能不全などが添付文書に記載されています。
【体調変化があれば】
- 症状を記録する
- 自己判断で増減しない
- 医師・薬剤師へ相談する
- 他の薬も伝える
副作用の発生率だけを単純比較して自分に起こるかどうかを予測することはできません。
女性、とくに妊娠に関する注意がある
両剤とも女性へのAGA適応はなく、妊娠中または妊娠の可能性がある女性では胎児への影響に関する注意があります。
【取扱い上の注意】
- 女性が自己判断で服用しない
- 妊娠関連の注意を確認する
- 破損した製剤の取扱いに注意する
- 薬を他人へ渡さない
製剤ごとの患者向医薬品ガイドに従って取り扱います。
PSA値に影響する
両剤ともPSA値を低下させるため、前立腺がん検査などでPSAを測定する際は服用中であることを伝える必要があります。
【検査時に共有】
- 薬剤名
- 服用量
- 服用期間
- 他の治療薬
健診や別の医療機関でも服薬情報を伝えましょう。
安全性も含めて選択する
既往歴、肝機能、他の薬、過去の副作用などによって注意点が変わります。
- 持病
- 現在の薬
- 過去の副作用
- 検査値の異常
効果の強さだけでなく、安全に継続できるかも選択材料になります。
費用の違いはどう比較する?
AGA治療は保険診療外となることが一般的で、実際の費用は医療機関、先発品・後発品、処方量などで変わります。
一律の金額では比較できない
自由診療では医療機関ごとに診察料や薬代の設定が異なるため、全国共通の月額で比較することはできません。
【費用確認の項目】
- 薬代
- 診察料
- 検査費用
- 送料・オンライン診療関連費用
広告の薬代だけでなく、受診に必要な総額を確認します。
先発品と後発品で価格設定が異なることがある
フィナステリド、デュタステリドともAGA向け後発医薬品が流通しています。自由診療での患者負担額は医療機関によって異なります。
- 先発品か後発品か
- 1回量と日数
- 診察費込みか
- 追加費用があるか
薬剤名だけで「必ずこちらが安い」と断定しないようにします。
安さだけで個人輸入品を選ばない
国内の医療機関で処方される医薬品と、個人輸入品では品質保証や健康被害時の対応が異なります。
【費用だけで決めない理由】
- 偽造品などのリスク
- 成分・品質を確認しにくい場合がある
- 副作用時の医療相談が必要
- 適切な診断が抜ける可能性
AGA治療薬は医療機関で診断・処方を受けることが基本です。
継続可能性まで含めて相談する
治療は一定期間続けて評価するため、毎月の負担が継続可能かも重要です。
フィナステリドとデュタステリドは作用範囲や臨床試験の結果に違いがありますが、どちらも男性AGAで推奨度Aです。効果・副作用・費用をまとめて医師と選択しましょう。
費用が負担になる場合は、自己流に服用頻度を減らす前に処方医へ相談してください。
参照資料:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」、PMDA「プロペシア錠・ザガーロカプセル添付文書」


