「頭皮にカビが生える」と聞くと、汚れた頭皮に目に見えるカビが増えるようなイメージを持つかもしれません。しかし医学的には、真菌が関係する頭皮の病気には複数のものがあり、それぞれ仕組みや治療が異なります。
頭皮の「カビ」という言葉だけで、頭部白癬と脂漏性皮膚炎を同じ病気として扱わないことが重要です。真菌が関係していても、感染症なのか、常在する真菌が病態に関与する皮膚炎なのかで意味が異なります。
頭皮トラブルに関係する真菌とは
真菌は、細菌やウイルスとは異なる微生物の一群です。真菌による感染症の一つに白癬があり、皮膚糸状菌が頭髪に感染すると頭部白癬を起こします。
一方、脂漏性皮膚炎では皮膚の常在菌であるマラセチアなどが病態に関与すると考えられています。これは「頭皮が不潔だからカビが感染した」という単純な説明ではありません。
【同じ「真菌」でも病気の意味は違う】
頭部白癬は皮膚糸状菌による感染症です。脂漏性皮膚炎ではマラセチアなど複数の要因が病態に関与します。両者を一括して「頭皮のカビ」と考えないようにしましょう。
頭部白癬では脱毛を伴うことがある
頭部白癬では鱗屑、毛の折れ、脱毛斑などがみられることがあります。炎症が強いケルスス禿瘡では、頭皮の腫れや膿などを伴う場合もあります。
皮膚糸状菌にはヒトから広がるものだけでなく、動物由来のものもあります。
【頭部白癬はシャンプーだけで治療しない】
日本皮膚科学会のガイドラインでは、頭部白癬は原則として経口抗真菌薬で治療します。脱毛や鱗屑がある場合は、市販シャンプーだけで長期間様子を見ず皮膚科を受診しましょう。
脂漏性皮膚炎にも真菌が関係する
脂漏性皮膚炎は頭皮や顔面など皮脂の多い部位に起こりやすく、赤みや鱗屑などがみられます。マラセチアが病態に関与すると考えられていますが、単純に「カビがうつって発症する頭皮の水虫」と同じものではありません。
フケが多いという理由だけで、頭部白癬か脂漏性皮膚炎かを自己判断して薬を使い分けるのは避けましょう。
「頭皮のカビ」が心配なときは皮膚科へ
脱毛斑がある、毛が折れている、頭皮が腫れて膿が出る場合は、頭部白癬を含む感染症の確認が必要です。また、赤みや鱗屑が長期間続く場合も、脂漏性皮膚炎や乾癬などを含めて診断を受けるとよいでしょう。
【受診を検討したい症状】
- 鱗屑を伴う脱毛斑がある
- 頭皮が赤く腫れている
- 膿や強い痛みがある
- フケ・赤み・かゆみが繰り返す
自己流の除菌や強い洗浄で頭皮を傷めず、症状に合った診断を受けることが大切です。